相場の見方つかみ方一覧

相場は相場に聞け

相場はアマノジャクである。人が考えているとおりには、なかなか動いてくれない。理屈では割り切れない、いわゆる「理外の理」で動くものであり、それが「相場は生きもの」といわれるゆえんでもある。

自分が下した判断だからといって、これにこだわり過ぎ、あるいは意地をはっていては、大きな痛手を受けることになりかねない。相場のゆくえは、相場だけが知っている。ここは、素直に相場に従うべきだという教えである。

例えば魚釣り。まずアタリをさぐってから、本格的に釣り始める。株式投資にも同じ呼吸が必要である。買いを考えているなら、手はじめに少し買ってみる。いわゆる打診買いだ。予想通りに株価が上昇すれば、さらに買い増していけばいいが、思うように上がらなかったり下がるようなことがあったときには、自分の判断が誤りであることを素直に反省し、しばらく様子を見るか逆に売りに回る。これが、「相場に相場を聞いた」結果ということができるだろう。

一見「人の行く裏に道あり 花の山」と矛盾するかのように思えるが、“人の行く……”は何がなんでも大勢に逆行しろといっているわけではない。仮に下げ相場であれば、何を見ても一斉に弱気を示しているようなとき、つまり夜明け前がいちばん暗いといわれるようなそういう時期を感じ取って、買いに回れといい、上げ相場なら過熱状態になったら売るべきだといっているものである。決して上げの途中、下げの最中で流れにさからえといってはいない。そういうときは、心静かに相場に耳を傾ける。「相場はどの方向に向かうのか」と、虚心に相場に問いかけてみるべきだろう。それが「相場は相場に聞け」の真意である。


買いにくい相場は高い

日本人は買い物が下手だといわれる。その典型が「安物買いの銭失い」である。これは一面からいうと、買い物の無計画性を示すものであり、お金の価値をしっかりつかんでいないから起こるものと見てよさそうだ。

株式投資においても、この傾向は多い。安いからというただそれだけの理由で、株式を買う人がいる。むろん、相場全体の水準が極めて安いところにある場合には、この投資方法でかまわない。しかし、ふつうのときに特定のある株式だけが安値にあるからといって無条件で買うと、思惑どおりにいかないことが多いのである。というのは、株価が安いところに置かれているのには、それなりの事情がある。事業そのものの見通しが立たず、業績推移が思わしくない、元来が人気のつきにくいものである等の理由だ。したがって、安値はいつまでたっても安値のままで放置されることになる。こういう株式を買うと、長い間に飽きがきて、たいていは投げ出さざるを得ない羽目に陥る。

その逆は、株価が高いというだけの理由で手を出したがらない心理である。なぜ高いかには、安いものと同様にそれなりの理由がある。先行きの業績の伸び、それに伴う増資、増配の予想を織り込み、さらに人気の要素も加わっての株価水準と見なければならない。そうした理由も考えずに、ただ単に高いということだけで敬遠していては、せっかくの相場にも乗れないというわけだ。

このへんの投資家心理をとらえた格言が「買いにくい相場は高い」であり、同じ意味から「売りやすい相場は高い」「買いやすい相場は安い」「売りにくい相場は安い」等という。そして「割り高に売りなし、割り安に買いなし」と、値ごろ感や単なる利回り採算だけで判定する誤りを戒めている。

昔の格言にも、次の句がある。

  • 売りがたきところが下がり、買いがたきところが上がると知るべし。(相庭高下伝)